『新規事業脳』を活性化せよ!『ビズ基地(ビジネスキッチン)』イベント第3回開催!【前編】

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キュービックは今、これまで培ってきたマーケティング技術を活かし、事業開発会社として更なる進化を遂げようとしています。そこで、事業開発の諸先輩方からいろいろと学ぶべく、ビジネスキッチン(通称ビズ基地)主導のもと定期的にゲストを招いたイベントを開催。

第3回目となる今回は、リクルートライフスタイルで、スマ―トフォンでできる精子セルフチェック『Seem』を立ち上げた入澤諒(いりさわ・りょう)さんをお招きし、トークセッションを行いました。

<入澤諒(いりさわ・りょう)>
1985年生まれ。2008年東京工業大学生命理工学部生命科学科卒。2011年東京工業大学工学部建築学科卒。
大学卒業後、株式会社エムティーアイに入社。女性のための健康情報サービス『ルナルナ』の企画・プロモーションのディレクションや、遺伝子解析サービスの立ち上げを担当。
2014年11月にリクルートライフスタイルに入社した後は、新規事業開発部門に配属。『じゃらんnet』のアプリ開発ディレクションを担当しながら、新規事業としてスマートフォンで精子のセルフチェックができる『Seem(シーム)』を立ち上げる。
現在は事業全体の戦略策定からUXの検討、プロダクト開発までを担う。

入澤さん、実は前職でライフステージや悩みにあわせて女性の一生をサポートする健康情報サービス『ルナルナ』のディレクションをされていました。

その時の経験を活かし、リクルートへ転職されてからは『Seem』の立ち上げに携わって来られました。入澤さんはまず今回持ってきていただいた『Seem』というサービスについて説明してくれました。

入澤:『Seem』は「スマートフォンで精子のセルフチェックができる」というサービス。キットの中に入った専用の顕微鏡レンズの上に精子を一滴垂らし、iPhoneのフロントカメラにセットします。

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『Seem』は、目には見えない精子をスマートフォンのカメラで簡単に撮影できるだけでなく、アプリで精子の濃度や運動量をすぐに測定できるというサービスです。

最近では5.5組に1組の夫婦が不妊治療を経験し、不妊の可能性に悩んだことがある夫婦が3割以上にのぼると言います。

しかし、これだけ多くの方が悩んでいるにも関わらず検査や治療がどうしても女性主体になりがちな現状に、私は問題意識を抱きました。

入澤:不妊は女性の問題なんじゃないかという誤解があり、「自分は大丈夫だ」と思い込んでいる男性が意外と多いんです。ほとんどの男性は何も行動を起こしていないというのが、明確な課題としてありました。

WHOが発表している不妊原因の割合グラフによれば「男性のみが原因」というケースが24%で、「男女両方」というケースも24%。合わせると実は不妊の原因のおよそ半分が男性にあることがわかっています。

しかし、男性が病院で検査を受けることは金銭的・時間的だけでなく精神的なハードルが高いのが現状。そこで「まずスマートフォンで手軽に自己チェックをしてもらえないか」と考えました。

セルフチェックで使用するアプリとキットはそれぞれApp StoreやAmazonを通じて簡単に入手できます。使い方や結果もパッと見てすぐに分かるため、初めてでも使いやすいキットです。『Seem』は自分やパートナーの精子の状態を踏まえて医療機関を訪ねる大きなキッカケになると考えています。

新規事業の概要や開発の背景をお話しいただいたところで、キュービックCEO世一とのトークセッションに移ります。

トークセッション

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課題を選んだ経緯
世一:いろんな事業アイディアを考えられたと思うのですが、その中でも「男性の妊活」という課題を選んだ経緯を詳しく伺いたいです。

入澤:私は前職で『ルナルナ』というサービスに携わらせていただいたこともあり、日本の不妊治療の課題感を理解していました。また、元からヘルスケア系の事業に関心が高かったということもありますね。

そこで「スマホで精子を見れたらどうですか」と上司に提案したんです。すると、その上司がたまたま不妊治療の診察で辛い思いをした当事者だったんですね。「スマホでチェックができたらユーザーから絶対に喜ばれる」と、2人の間に確信が生まれたからこそ進み始めた企画でした。

世一:なるほど。一般的な新規事業開発では、仮説をたくさん作った中から厳選して事業計画を作るイメージがありますが、今回はそうではないということですか?

入澤:はい。だから後々めっちゃ大変で。プロトタイプができてから、リクルートとして事業を進めるか判断するための、事業計画を積み上げないといけないのですが、もう、本当に……大変でした(苦笑)。

チームのバランス
世一:現在は何人ぐらいのチームで『Seem』を運営しているんですか?

入澤:全体では6人ですが、『Seem』に割けるパワーが20~30パーセントの人もいるので、リソースで言うと4.5人ぐらいでしょうか。

社員メンバーの役職で言うと、クリエイティブディレクター的な人と、開発統括の人と、裏方整備している人と、マーケターと私。

世一:なるほどなるほど。入澤さんご自身の一日の仕事の流れはどのようなものなのでしょう?

入澤:事業責任者としてすべての判断をしています。

世一:なるほど。事業の成長には決まった基準や目安はありますか?

入澤:案件ごとですね。ルールというよりは『Seem』の場合、ここまで行けたらいいなというラインがあるだけですね。でも、ちゃんと思い描いた通り進捗してるかっていうと、全然違いますね。市場が伸びる確信はありましたが、ビジネスモデルとしては未知の領域だったので、一歩進んでは課題が見つかることの連続で。

世一:そうですか。最初に想定していた100点と比べて、いまはご自身のなかで何点ぐらいですか?

入澤:20~30点ですかね……。でも常に100点以上は狙っています

世一:なるほど。その中でもマーケットポテンシャルはだいたいどれぐらいだと見立てたんですか?

入澤:日本のカップルのうち、子供が今後欲しいという夫婦はだいたい600万組いるので、その方々のポテンシャルを他のプロダクトやサービスを参考に算出しました。

リクルートでも珍しいヘルスケアの事業を、まったく新しいかたちで作り上げようとする点を社内から評価され、事業を任されることになった入澤さん。

しかし、新規だからこその苦しみも少なくありませんでした。

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一番苦労した点

世一:これまでのなかで一番しんどかったところはどこですか?

入澤:ひとつはプロトタイプの開発のときですね。プロトタイプを作ってはテストして、急いでフィードバックするという手順を重ねないといけないんですが、初めは全然できなかったんですよ。

市場へのコミュニケーションも、とてもセンシティブで気を遣いました。軽いノリでやってしまえば絶対に炎上しますし、リクルートとしてのブランドイメージも傷つけることになりかねないですし……。経営陣には毎回毎回丁寧に説いていきましたね。

市場と同じように気を遣ったことは学会や先生方からきちんと了承を得ることですね。先ほどスライドで説明したように、最初に業界の先生方からお墨付きをいただくことはすごく大事です。リクルートが『Seem』を立ち上げることは、当時業界では結構な話題になったので、事前に先生方の耳に入れておくことで業界と事業の間で行き違いがないように注意しました。その点でも下準備はかなり慎重に進めました。

世一:知見がない領域のなか、専門家への認知などはなぜやるべきだと気づいたんですか?

入澤:前職の経験が活きています。最後の1年は遺伝子解析サービスの立ちあげチームに所属していたんですね。その時に臨床試験とか倫理委員会に関係した業務をしていたので、なにをやるべきかはもうわかっていました。

大学で学んだバイオの知識や、前職で得た経験が、まったく新しい事業にもいろいろなヒントを与えているんですね。
続いて、マーケティングでの課題を伺いました。市場が伸びる予感はありながらも、やはり知名度を上げるには難しいハードルがあったようです。

マーケティング面の課題
世一:なにが一番マーケティングで施策として効いていますか?

入澤:PRがめちゃくちゃ効いていますね。みなさんには今動画をご覧いただいたので、この感覚が伝わると思うんですけど、どうでしょう。『Seem』って「すごくいいサービス」じゃないですか?妊活をするなら使った方がいいと思いませんでしたか?
『Seem』の文脈って多くの人が「いいもの」として同意できるんですよ。

テーマとしては「少子化」「ジェンダーギャップ」「新テクノロジー」や「リクルートの新規事業」など。いろんな切り口があるのでPRはやりやすいです。
ただ、いまは「男性不妊」というワードでの検索はほとんどされないので、普通に広告を打ってもユーザーがたどりつけないんですね。なので、できるだけ多くの方に知っていただき、妊活への男性参加を啓蒙する意味でもPRをうまく活用しながらやっていきたいと思っています。

世一:いま現在一番の課題はなんですか?

入澤:やっぱり認知ですね。認知を上げる場がない。

先程言ったPRも面がないからやらざるを得ないというところもあって。ターゲットを大きく獲得できるような場がないことが課題です。

そもそも認知を上げるには色々なハードルがあります。一般的に「男性不妊の知識がない」点はもちろんですけど、じゃあ知識があってもスマホで精子見ようとは思いつかないじゃないですか。だから潜在顧客に仕組みを理解してもらってニーズを育てていかないといけない点をハードルに感じますね。商品を通じたコミュニケーションをどう効率的に広げていくかということが今後の一番のポイントです。

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たくさんの顧客に届けられるポテンシャルはあるものの、ニーズの育成から始めないといけない。出産にまつわる潜在意識まで変えていかないとならない、一大事業だと感じました。

前半はここまで。よくある新規事業とは違って、プロトタイプ作りから販売計画を立てていった入澤さん。後半では、今後の新しい事業やチームで働くための意識について詳しくお話しいただきます。

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